Activity Report

JAO活動レポート

第22回日本マスターズオーケストラキャンプ(MOC22)

  • 会場:京都府立府民ホール・アルティ
  • 日時:2022年1月8日(土)~10日(月・祝)

全体写真(京都府府民ホール・アルティ) (C)相田憲克

プログラム
課題曲:
(1)ハイドン チェロ協奏曲第二番(弦楽合奏版)チェロソロ藤森氏
(2)モーツァルト ヴァイオリン協奏曲第三番(弦楽合奏版)ヴァイオリンソロ森田氏
(3)メンデルスゾーン 弦楽の為の交響曲第八番
出演者
講師:
森田昌弘(NHK交響楽団)
御法川雄矢(NHK交響楽団)
藤森亮一(NHK交響楽団)
レポート
<N響メンバーと共に弾こう~パートIV~コンチェルトの楽しみ>

 今回は「N響メンバーと共に弾こう」シリーズの第4回目として”コンチェルトの楽しみ”として開催した。
 コロナ禍の収束が見られない今回は参加条件として感染防止を遵守した。それはソーシャルディスタンスとか,アルコール消毒などの他、ホール内での飲食を禁止し、さらに歓迎レセプション,お呈茶は実施しなかった。(参加者の皆様のご協力に感謝いたします。)
 講師は,お馴染みのNHK交響楽団の3名。課題曲は要望の多かった協奏曲と弦楽合奏曲を選曲した。指揮者なしでお互いに気配を感じ聴き合いながらの演奏となった。事前練習をしっかりとしてキャンプに望むという形を目指したため初参加の方には少し戸惑いも見られたが,キャンプが進むにつれだんだんと慣れてアンサンブルを楽しまれていた。
 メンデルスゾーンの『弦楽のための交響曲』は彼が12歳から14歳にかけて作曲した交響曲の習作だが、後の「イタリア」などの交響曲,ヴァイオリン協奏曲,宗教曲など何処かで聴いたことがある旋律に気付き興味を持った方も多かったようだ。
また,コンチェルトではソリストがメンバーに向かって演奏し,参加者から「言葉を失うほどの感動があった」という感想もありMOCならではの体験をされたようだ。
 最終日の初春コンサートは無観客であったが緊張感が保たれた名演奏となった。練習同様指揮者なし,ソロはメンバーの方を向いて演奏した。それによって参加者は講師と一緒に演奏し音楽を創る過程をより強く体験できた。また、どのパートも充実していた。特に低音部と中音部がしっかりしたことでメロディラインが浮き上がりメリハリの利いた演奏となった。そして参加者全員が曲作りに集中した演奏会となった。
 参加者からは「このキャンプは他の参加者が求めているクオリティとそのための準備に刺激を受けている。」や「もっと音楽のことを知らなければ、もっと練習を工夫しなければ、物理的な時間量だけでなく質、読譜の時間をとらなければ、和声等意識しなければ、とたくさんのことが課題に挙がるが、・・・。」等の学びを再確認するコメントが聞かれた。また、新型コロナウイルスの影響で日本中のオーケストラ活動が制限される中,このキャンプに参加して「やっぱりオーケストラは止められない。」,「お互いに聴きあい信頼し合うことがアンサンブルの基本だ。」といった振り返りの感想もあった。前回のキャンプ中止といった空白の1年間から、今回の無観客コンサート。次回は制限の無いキャンプとなるよう期待するものである。

藤森亮一(チェロ) (C)相田憲克

森田昌弘(ヴァイオリン) (C)相田憲克